HERS通信

【新連載】パリ近郊 花とともに暮らす① はじまり。

Update : 2020.08.23
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2020年8月・朝6時・散歩。

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この所フランスでは珍しくずっと35度前後の日が続く。

いつも静かな村だけど、早朝の特別な空気・涼やかさでほっと一息、
それがすごく気持ちがいい。

村は刈り入れの終わった麦畑にぐるりと囲まれていて、
まるで砂漠の中にあるオアシスみたいだ。

IMG_6494 野性キャロットB

カラカラに乾燥している道端の草を目で追いながら歩くと、この暑さの中で何事もないかのようにひょろっひょろと涼しげな白い花、野生の“キャロット”があちらこちらに咲いている。健気と言うかたくましいと言うか。

この花を見てると、29年前に初めてここを訪れた夏を思い出した。

「パリの近郊の田舎なんだけど、お花を作っている人の所一緒に行かない?きっと気に入ると思うよ」と友人が声をかけてくれたのだ。

もうすぐ30歳・花の勉強をする為に渡仏してまだ1年もたたない頃のことだった。

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今の農園は、改装が進み庭も3ヘクタールもあり、リンゴを始め果樹と花や木、野菜が混在している。

当時はこんな風になるとは想像もつかない普通の農家で、オーナーの住居のすぐ裏側まで麦畑が迫っていたし、花畑もまだまだ小さかった。

それでも、ガサガサしたワイルドな魅力に溢れていて一瞬の間にこの場所が大好きになってしまった。

オーナーと初対面にもかかわらず興奮と共に、「花を切ってブーケにしてもいい?」とお願いすると、「いいよ」と簡単に返事が帰ってきてひたすら花を摘んで束ねたことを思い出す。

花や緑を次々と心の赴くままに摘みたくなる衝動でいっぱいになった。

その後、自分が家族とここに住みファーマーズフローリストとして仕事をすることになる予感は全くなく。

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そして今から13年前、ここに家族と移住することになる。
今の私は、農園の仕事を手伝いながら、自分でここに咲く花を切りだし束ねウエデイングの装花などの仕事をしている。

それまでは幸運にもパリのアトリエで花の仕事を8年間思い存分経験する事が出来たのだけど……。花や自然が好きでしている仕事だけれど切り花の装飾だけに携わる事に何かが足りないと思い始めていたのかもしれない。

生活者として自然がすぐそこにある暮らし・そこに自分が求めているものがあるかも。

直感で決めた。

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散歩中、目が合った花をひょいと切りとって持ち帰る事が多々ある。今朝は野生のキャロット、裏庭のハーブのポリジと合わせて窓辺に飾る。

7時。

1日が始まる太陽がしっかり空に上がる時間になった。

 

文・西田啓子/ファーマーズフローリスト Instagram@keikonishidafleuriste
フランス・パリ近郊花農園シェライユ在住。パリの花のアトリエに勤務後、自然を身近に感じる生活を求め移住。以来、ロ-カルの季節に咲く花を使いウエデイングの装飾や、農園内で花を切る事から始める花のレッスンを開催。花・自然・人との出会いを大切にする。
https://keikonishida-fleuriste.jimdo.com/

 

 

 

 

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