モキチのブログ 「ひと皿」の向こう側

PROFILE

「モキチ」ことライター齊藤素子。銀座・泰明小学校卒業。OLやギャラリー勤務を経て、
1995年『VERY』創刊時にライター稼業を始める。食や旅のページを中心に雑誌やWEBで活躍中。
その一方で、世界初の腰痛専門WEBマガジン『腰痛ラボ』では編集長を務める。

‟40ユーロで行けるスペイン”を体現する心地よいバル

Update : 2019.10.17
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人気のアロセリア(米料理専門店)、銀座【アロセリア ラ パンサ】、代官山【アロセリア サル イ アモール】の姉妹店【バルポルティージョ デ サル イ アモール】が中目黒にオープンしました。

しかも、両店の名物料理を引き継ぎながら、もっといろいろな郷土料理を楽しめるバルとしてオープン。

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メニューには30種類以上のタパスと10種類のパエリアが並んでいて、初めて見るメニュー名もたくさんあるのでいろいろと食べてみたくなります。

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誌面でご紹介したのはこちらのコンビナート(¥3,500)お店の名物タパス6種類の盛り合わせです。

6種類の内容はこちら。

手前から、
ピキージョピーマンのコンフィ
スペイン全土で食されているピキージョピーマンは、ナバーラの特産物です。まず、ピーマンの表面を真っ黒に焼いて皮をむき、水煮にしたものを、さらに油でコンフィして甘みをぎゅっと凝縮させました。ニンニクとアンチョビが添えられています。
タラのグラティナード
カタルーニャ地方の郷土料理。“グラティナード”は、スペイン語で“焼く”“グラタン”を意味します。タラの上に、炒めた玉ねぎとアリオリソース(ニンニク入りマヨネーズ)をのせてオーブンで焼いたもの。
イベリコ豚の生ハム
上質なハモン・イベリコの生産地として知られるサラマンカ県のもの。
焼きチョリソとフライドエッグ
香ばしく焼いたチョリソ(豚肉の腸詰)に合わせるのは、卵をたっぷりの油で揚げるように焼いたフライドエッグ。スペイン語ならばウエボ・フリット“。“ウエボ”は“卵”、“フリット”は“揚げる”。スペインでは目玉焼きよりもこちらが好まれ、チョリソとの組み合わがポピュラーです。
イカのフリット
定番的なタパスの一つ。アリオリソースをつけていただきます。
マッシュルームのセゴビア風
セゴビア県の郷土料理。マッシュルームを白ワイン、生ハム、ニンニクと一緒に軽く煮込んだもの。

今年、小林悟料理長とスタッフたちがスペイン北部のカスティーリャ・イ・レオン州の州都・バリャドリッドの近くのブルゴスという街を訪れた際、バルで見かけたタパスの盛合せが気に入って、お店でも提供することに。このユニークな器は、作っている工房を探して入手したそうです。

「バルというと、カウンターにピンチョスが並ぶ、サン・セバスチャンのちょっとお洒落なバルをイメージされる方が多いと思います。
うちは、例えばアンダルシア地方にあるような、もっと田舎くさいというか庶民的なバルのイメージ。小皿料理をたくさん並べて、みんなで立ち飲みするような雰囲気ですね」(小林料理長)

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こちらはちょっと珍しいコゴジョのサラダ(¥950)。
日本ではほとんど見かけることのない野菜コゴジョは、南東部のムルシアの特産物。
日本では“ミニロメインレタス”と訳されるようです。スペインではとてもポピュラーな野菜で、オリーブオイルとヴィネガーをたっぷりかけて食します。ブルーチーズのソースをかけたり、サーモンのマリネと一緒に食べることもあるとか。

時には手で掴んで(ちょうど掴みやすいサイズ)ムシャムシャと食べることもあるという人気の野菜。
食べやすくて、瑞々しくて、シャキシャキ感がクセになります。サラダ用のコゴジョはスペインから取り寄せたものと、原薗理志マネージャーのお父様が栽培されているものを使っているそうです。

お店では、オリーブオイルとヴィネガーに加え、トマト、ツナ、オリーブ、アンチョビをのせた定番的なスタイルで提供。

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こちらはお店の名物メニュー、ピキージョピーマンの詰め物(¥800)。
煮込んだ牛ほほ肉とポルチーニを使ったホワイトソースをピキージョピーマンに詰めました。魚介類ベースのホワイトソースを詰める店もあり、代官山【アロセリア サル イ アモール】では魚介を使ったホワイトソースを使っているそうです。
ソースは、牛ほほ肉の煮汁とトマトソースを合わせたもの。野菜と肉の旨味が詰まった一品です。

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ナスの美味しさを再発見!止まらなくなる美味しさのポルティージョ名物のナスのフリット サルモレホ添えHALF¥800/¥1400 *写真はハーフサイズ)
南部・アンダルシア地方の郷土料理。小麦粉にビールを混ぜた衣のサクサク感がたまりません。ソースとして添えられるサルモレホは、本来はスープ。トマト、ニンニク、パン、オリーブオイル、ヴィネガーがベースで、濃くてもっさりとしたガスパチョというイメージです。
ナスのフリットとの相性は抜群なので、たっぷりつけていただきましょう。

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代官山【アロセリア サル イ アモール】から受け継がれたSal y Amorの小海老のカルデロ(¥3,200)。
カルデロは、汁気を多く残して仕上げたパエリアのことで、南東部のムルシアの郷土料理です。日本の雑炊のようなイメージ。
魚介とニョラス(乾燥させたピーマン、スペイン料理には欠かせない食材)ベースの出汁を米に加えて、最初は超強火で煮て米にしっかりと出汁を吸わせ、最後は弱火でコトコトと煮て仕上げます。ニョラスを使うことで、出汁に複雑味が生まれて、さらに美味しくなるのだそうです。
独特の形をした米料理専用の鉄鍋は、直接コンロにのせられるような工夫を加えたオリジナル。直接火にかけて強い火で米に出汁を吸わせるのがポイント。
こちらも、アリオリソースと一緒に食します。

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そして、ワインはやはりチャコリをいただきたい。バスク地方、ビルバオとサンセバスチャンの間の街、ゲタリアで生産されている「TXOMIN ETXANIZ(チョミン・エタニス)」は、果実味が豊て軽やかなチャコリです。注いでいただいたのはマネージャーの原薗理志さん。周囲に香りが広がります。

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統括料理長の小林 悟さんとマネージャーの原薗理志さん。
小林さんは、学生時代にスペイン料理店でアルバイトをしたことがきっかけでスペイン料理に興味を持ち、20歳からスペイン料理一筋。26歳の時にスペインに渡り、マドリードとバスクの店で修業しました。バスクでは【アスルメンデイ】のエネコ・アチャ氏の元で約1年働いたそうです。
「スペインにはまだまだ知らない郷土料理がたくさんあります。それをもっと勉強して、自分の料理にして、皆さんに食べていただきたいと思っています。いろいろな料理を食べていただきたい、スペインの食文化にもっと親しんでいただきたいという想いから、この店はバルという業態にしました。今、興味があるのは北西部のガリシア。タコの名産地で、柔らかく茹でたタコにパプリカパウダーをたっぷりとまぶして、オリーブオイルと塩で食べるガリシアの名物料理は、店でもお出ししています。実はまだ行ったことがないので、次は是非訪ねたいと思っています」(小林料理長)
スペインの田舎町にありそうな心地よいバルで「40ユーロで行けるスペイン」を体験してみませんか。

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Bar Portillo DESAL Y AMOR
東京都目黒区青葉台1-19-12 エスセナーリオ青葉台103
03-6455-2536
月曜〜金曜12:0015:00L.O.14:00)、17:3023:30L.O.22:30
土曜・日曜・祝日12:0015:00L.O.14:00)、17:3023:00L.O.22:00
3月曜休 2019510OPEN

撮影/牧田健太郎 取材・文/齊藤素子 編集/川原田朝雄

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著者プロフィール:
「モキチ」ことライター齊藤素子。銀座・泰明小学校卒業。OLやギャラリー勤務を経て、1995年『VERY』創刊時にライター稼業を始める。食や旅のページを中心に雑誌やWEBで活躍中。その一方で、世界初の腰痛専門WEBマガジン『腰痛ラボ』では編集長を務める。

 

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