モキチのブログ 「ひと皿」の向こう側

PROFILE

「モキチ」ことライター齊藤素子。銀座・泰明小学校卒業。OLやギャラリー勤務を経て、
1995年『VERY』創刊時にライター稼業を始める。食や旅のページを中心に雑誌やWEBで活躍中。
その一方で、世界初の腰痛専門WEBマガジン『腰痛ラボ』では編集長を務める。

一流フレンチが手がけるお得なビストロ/「ひと皿」の向こう側

Update : 2019.02.13
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皆さんには、わけもなく、突然、無性に食べたくなるものってありませんか? 私には幾つかあってそのひとつが“ステックフリット”です……けっこうな頻度で食べたくなります。そんな私に友人が教えてくれたのが浅草【noura】でした。
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2018年版の「ミシュランガイド東京」で2ツ星を獲得した人気店【オマージュ】。【noura】は、その裏に昨年オープンしました。フランス語ではありません。【オマージュ】“の裏”だから【noura】。洒落が利いていて、肩の力がすっと抜けるようないい店名です。

2000年にオープンした【オマージュ】。オープン当初は、現在のモダンなフランス料理とは違うカジュアルでオーセンティックなフランス料理を提供していました。徐々に当時のお客様が離れていき、地元の人もなかなか気軽には来られない敷居の高い店になってしまったことが気がかりだったという荒井昇シェフ。もう一軒、店を作りたいと思っていた折も折、店の隣の物件が空いて「これはやるしかない!」と、最高の条件でもう一軒の店をオープンする運びとなりました。両店の厨房を背中合わせにしたレイアウトにしたことで【オマージュ】のパティシエの作業はこちらで行い、厨房が手狭になったという悩みも解決。

そういった流れから、【noura】のメニューは、“ステックフリット”“オニオングラタンスープ”“スモークサーモン”“鴨のコンフィ”等々、普遍的でこれぞフランス料理! というラインナップ。

【noura】の厨房で腕を振るうのは、今から約20年前、荒井シェフとフランスの『オーベルジュ・クロ・デ・シーム』で共に修行した松本義夫シェフ。松本シェフは、一人で切り盛りしていた学芸大学の人気店【ヴァン・デュ・ミディ】を閉めて【noura】へ。こうして、“普通のものをとびきり普通の一品に仕上げる”、“究極の普通”を目指した【noura】がオープンしました。
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誌面ではこちらの“ステックフリット”を紹介しました。(アラカルトの場合は\2,000/税・サ別)

【noura】のオープンに際して、必ずメニューに入れたかった料理がこの“ステックフリット”だったそうです。

“とびきりの普通”にするためにこだわった肉は、オーストラリア産のアンガス牛。穀物肥育で肥育期間が32?36カ月の旨味がしっかり乗った肉を使用しています。牛脂を使い強火で焼き上げれば、表面はサクッと、肉の旨味が封じ込められ、噛みごたえのある程よい柔らかさも残されています。なんて、サラリと書いていますが、もちろんこれは決して簡単ではありません。松本シェフのテクニックがあればこそ。ポテトはフレンチフライ発祥の地、ベルギーの定番的ブランド「ルトサ」のフライドポテトです。

「ポテトに凝ることももちろんできます。例えば、旨味が凝縮された国産の越冬のジャガイモを使うとか……。でも、特別にしすぎたり、ポテトだけで美味しすぎちゃうのは違うと思うんです。“ステックフリット”という料理が日常的なものなので、ポテトも普通に美味しいのがいい。『ルトサ』の冷凍ポテトはちょうどいいんです」(荒井シェフ)。

ちょうどいい美味しさです。
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アミューズはパンケーキ。焼きたて、ふわふわのパンケーキにトリュフオイルとメープルシロップをたっぷりかけて供されます。

「テーブルで分け合って食べていただくスタイルにしたかったんです。そのために、1からレシピを起こしたパンケーキです」(荒井シェフ)

現在は夜のコースのみでの提供ですが、好評につき、今後はランチのアラカルトメニューに加えられる予定。生ハムやブッラータチーズなどのトッピングも検討中とのことです。
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「Bioのレンズ豆を詰めた自家製スモークサーモン ハーヴのクリーム」(アラカルトの場合は¥1,500/税・サ別)

松本シェフが作る自家製のスモークサーモンは【ヴァン・デュ・ミディ】でも大人気の前菜でした。ヴィネグレットソースで和えた、レンズ豆、青リンゴ、エシャロット等をスモークサーモンで包んだものに、パセリ、レモンの皮、レモン汁、アンチョビなどを使ったハーヴのクリームが添えられています。

「大好評ですね。お子さんにも人気で、うちの子供も大好きです。スモークサーモンだけたくさん食べたいと(笑)。持ち帰りたいという方もいらっしゃいます」(荒井シェフ)。

「タスマニア産のサーモンを使っています。ノルウェー産のものよりも脂が少なく、スモークサーモンに向いていると思います」(松本シェフ)。

実はこの料理には2人のシェフの思い出が込められています。二人が修行した『オーベルジュ・クロ・デ・シーム』は、上質なレンズ豆の産地として知られるル・ピュイの近くにあり、料理長がレンズ豆協会の会長だったことから、レンズ豆のテリーヌをはじめ、レンズ豆の料理が店のスペシャリテでした。そこで是非、思い出のあるレンズ豆を使ってみようということになり、出来上がったのが松本シェフの絶品スモークサーモンと合わせたこの料理。『オーベルジュ・クロ・デ・シーム』への最高のオマージュです。
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メニューはフランス料理ばかりですが、最後にあるのはなんと「〆のご飯」。しかも“魯肉飯(ルーローファン)”!(¥500/税・サ別)

実は“ステックフリット”とともに、最初に決まったメニューなのです。その理由を伺いました。

「数年前、台北を旅した時に食べて『美味しいなあ』と感激して、帰国してからは【オマージュ】の賄いで作っていたんです。レシピを調べたり、自分でも工夫したりして改良を重ねていきながら。こんなに美味しくて、魯肉飯が好きという方も結構いらっしゃるのに、日本ではあまり専門店を見かけないのと、新しい店では何か?〆のご飯もの”をメニューに入れたいと考えていたので魯肉飯しかない!と」(荒井シェフ)。

これもシンプルなひと品ですが、思い入れのあるひと品だけに、こだわりも……。肉はいろいろ試した結果、【オマージュ】と同じ南部高原豚の前脚を使用し、それを台湾の醤油、黒糖、キャラメル、揚げた玉ねぎなどを使ったタレで煮込みます。

「肉はいろいろ試しましたが、全然違いますね。かなり食べ比べないとわからないと思いますが、僕はけっこうな頻度で食べているので(笑)、わかるんです」(荒井シェフ)。

「〆のご飯もの“魯肉飯”」のインパクトは強烈で、多くの人が最初に注文するもよう。

「そうなんですが、キャンセルも多いんです(笑)。実はその前にお腹がいっぱいになっちゃう方が多いんですね。ですので、半分のサイズも用意しました」(荒井シェフ)

お持ち帰りの“魯肉飯”も検討中とのこと。個人的には是非、実現させていただきたいです。
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ワインはフランス産が中心。グラス¥600~
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なんと、店内のデザインに関してはデザイナーに依頼することなく、ほぼ荒井シェフが決めたそうです。“究極の普通”を目指した料理と同じくシンプルで普遍的、そして温かみのあるインテリア。フルオープンのキッチンが店内に心地よい活気をもたらしています。作った人がサーブできる、厨房からもお客さんの様子を確認できる、など、少ない人数で効率的に作業やサービスを提供。そんなキッチンの様子を眺めていると、料理を待つのも楽しい時間になります。
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荒井シェフ曰く、フランスにはこんな言葉があるそうです。

“料理人よ地元に帰れ。そして、地元の食材を使って地元のために働きなさい”。

荒井シェフはこの言葉に従い、19年前にフランスから戻り、生まれ育った浅草で【オマージュ】をオープン。原点を再確認して未来を見つめる【noura】も地元の人々に長く愛される店になること間違いなしです。もちろん地元以外の人々にも。
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【noura】
東京都台東区浅草4-10-6 /03-6458-1255
11:30~15:00(14:00L.O.)、平日18:00~23:00(21:00L.O.)、日曜祝日18:00~23:00(20:00L.O.)
定休日:月曜、火曜ランチタイム

ランチ/¥2,000 ディナー/¥2,800、¥3,800のプリフィクスコース。
その中からアラカルトとしてオーダー可能(追加料金が必要なものもあり)
*すべて税・サ別

 

撮影/牧田健太郎 取材・文/齊藤素子 編集/川原田朝雄

 

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筆者プロフィール:
「モキチ」ことライター齊藤素子。銀座・泰明小学校卒業。OLやギャラリー勤務を経て、1995年『VERY』創刊時にライター稼業を始める。食や旅のページを中心に雑誌やWEBで活躍中。その一方で、世界初の腰痛専門WEBマガジン『腰痛ラボ』では編集長を務める。

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