HERS編集部のスタッフは、11月から12月にかけては2016年の春夏コレクションの展示会まわりで大わらわでした。オシャレ編集女子ならまだいいのですが、小生は、47歳のムサい男です。スーツを着て展示会に行くと、先方の受付女子に「申し訳ありませんが、本日は百貨店さま向けの展示会ではありません。プレス向けの日です」などと言われます。百貨店に就職しておけばよかった……。
そんな愚痴はさておき、今回の展示会で気になったものを紹介します。
まずはランバンのストレートチップパンプス。
久しぶりに“ぐっときた”靴です。
そもそもストレートチップの靴といえば、メンズのドレスシューズのディテールです。別名「キャップトゥ」とか、「一文字」とか言われるディテールです。
そして、メンズの靴の中では、内羽根のストレートチップの紐靴が、タキシードスーツの時に合わせるツヤツヤしたオペラパンプスを除いて、いちばんドレスアップ度の高い靴なのです。
なぜでしょう?
私も社会人になってそれを知った時、少し不思議に感じました。
「縫い目も何もない、シンプルなプレーントゥのほうが正統派なのではないか」、「所詮ストレートチップはいちばんダメージを受けるつま先部分を保護し、いちばんシワの入る部分を縫い目で誤魔化したのではないか」「安全靴と同じではないか」。明らかにそう思えるのですが、それでもメンズの世界では、ストレートチップがいちばん品位の高いドレスシューズなのです。
なぜでしょう?
どうやら19世紀後半からイギリスのオックスフォード大学の学生、およびそのOBたちが好んで履いたことに原因があるようです。さすが英国のお坊っちゃまやエリートたち! そう言われれば、何も逆らえませんよね。やっぱりメンズファッションは、英国スタイル万歳! です。
話はだいぶ反れましたが、そんな男の思い入れはさておき、このランバンのストレートチップは切り替えの色使いがとても秀逸だと思いました。
美しすぎて、逆に「ドレスアップ用の靴かしら」と思ってしまいますが、そんなことはありません。こういう靴こそ、例えばデニムに合わせて颯爽としたカジュアルで決めてほしいものです。
HERS読者のみなさん、ぜひその方向で履きこなしてください!
もうひとつ。HOTでCOOLな新ブランドのニュースです。
yoshie inabaやMOGA、wbなどのブランドで知られるBIGIから、2016年の春にデビューするのは「1er Arrondissement」(プルミエ アロンディスモン)。
展示会まわりでは、ひとつひとつの細かい服のことも大事ですが、それ以上に、会場に入った瞬間のファーストインプレッションがとても参考になります。このブランドには、ぱっと見渡したときに会場全体からオーラを感じました。
白と黒、ネイビーにはっきりとこだわった世界。
普通ならその2色だけではちょっと地味に落ち着いたり、あるいは逆にモードに走りすぎたりするものですが、こちらのコレクションは躍動感とリラックス感を併せ持つ、独特の雰囲気に溢れていました。
オリジナルの服だけではなく、ところどころにフィナモレやルトロワといった馴染みのブランドのアイテムが差しこまれ、コーディネートの提案もわかりやすくてGOOD!
春が待ち遠しいブランドです。
編集TK47YO