HERS9月号「美味しい旅」では台湾、ハワイ、瀬戸内を紹介しています。
なかでも瀬戸内は40ページにわたる総力取材!
P.64では、日本三大銘醸地のひとつ、東広島・西条の酒蔵を訪ねているのですが、そのうちの賀茂鶴酒造からは秋に向けてNEWSがあります。
来年、法人設立100周年を迎えるにあたり、賀茂鶴酒造が今年の10月に発売するのが【広島錦】という純米酒。
写真中央が、【純米大吟醸 広島錦】720ml \5,400。
これとは別に、料飲店限定で【純米酒 広島錦】1.8l も展開されます。
この純米酒の特徴は、とにかく広島の素材にこだわって開発されたということ。
まず、酒米は山田錦でも五百万石でもなく、広島錦を使用。この広島錦は昭和初期に誕生したものの、栽培が難しいために(背丈が160㎝と高く、籾が落ちやすい)、今では幻の存在となっていました。しかし、賀茂鶴酒造はその酒造適性を見直し、県内の稲作農家の協力を得て、酒米としての広島錦を見事に復活させたのです。
そして、第2のこだわりは、発酵に欠かせない酵母。酵母には蔵元オリジナルの酵母や各県各研究機関が管理している酵母など、さまざまなものがありますが、【広島錦】では「協会5号酵母」を採用。明治39年に設立された日本醸造協会が良質な日本酒造りのために培養し、全国の酒蔵に頒布してきた協会酵母のなかでもごく初期の酵母で、そのルーツは大正時代の賀茂鶴にあります。こちらも現在では頒布されていない貴重な酵母です。
もちろん日本酒の約80%を占める水は、西条ならではの上質な軟水。緑豊かな賀茂山系から湧き出る伏流水を使っています。
7月末には、そんな【広島錦】のお披露目発表会が都内で行われました。
右から、賀茂鶴酒造の代表取締役社長・藤原昭典さん、日本ソムリエ協会会長・田崎真也さん、「日本酒大好き!」の料理家・栗原 友さん、【広島錦】のブランディングを手がけたエイトブランディングデザイン代表・西澤明洋さん、そして、賀茂鶴酒造二号蔵杜氏・椋田 茂さん。
柔らかな口当たりですが、純米酒ならではのしっかりとしたコクが本当に美味しいお酒でした!
さて、日本酒に焼き魚やお刺身も最高ですが、やっぱり肉料理に赤ワインというのも欠かせません。
みなさん、ボジョレーって、知ってますよね?
そう、毎年11月の第3木曜日に解禁されるワイン。カウントダウンイベントも話題になります……と思っている人が多いでしょう。
でも、それは厳密には間違いなのです。
あのワインは「ボジョレー ヌーヴォー」。
「ボジョレー」だけだと別のワインになってしまいます。
どちらもフランス南東部のボジョレー地方で作られる赤ワインですが、作り方も味わいも違います。
“ボジョレーの帝王”と呼ばれるワインメーカー、ジョルジュ デュブッフ社の御曹司・アドリアン デュブッフ・ラコンブ氏の来日セミナーに出席してきました。
まず、ボジョレー地方のワインの特徴はブドウの種類です。カベルネ・ソーヴィニヨンやピノ・ノワール、メルローといった品種には聞き馴染みがあるかもしれませんが、この地方で作られるブドウの98%は「ガメ」という品種。もともとは、ピノ・ノワールにゴーエ・ブランというアジア原産の白ブドウをかけ合わせたハイブリッド種で、“ピノ・ノワールの息子”とも呼ばれています。
タンニンが控えめで酸味が豊かとされるガメ種。その利点は、軽やかでフルーティなワインから、華やかで複雑なワインまで、さまざまな味わいのワインを生み出すことができるということ。
そう、軽やかでフルーティなワインの代表が【ボジョレー・ヌーヴォー】。その年に収穫したブドウだけで作られるフレッシュでみずみずしい風味は独特です。
それに対してこちら。
右【ボジョレー・ヴィラージュ】、左【ボジョレー】。
ともに【ボジョレー・ヌーヴォー】よりも発酵期間に時間をかけ、半年ほど熟成させてから翌年の春以降に出荷されます。
つまり、解禁から数か月間が飲み頃の【ボジョレー・ヌーヴォー】に対して、こちらの2本は、いわゆる一般的な赤ワインのように、数年間にわたって美味しく楽しむことができます。
主にボジョレー南部の石灰質土壌で育まれたブドウを使った【ボジョレー】はガメ種本来の酸味が利いた味わい。食欲が増進します。
一方、ボジョレー中部にある花崗岩質土壌のボジョレー・ヴィラージュ地区で生産されたブドウによる【ボジョレー・ヴィラージュ】はカシスやベリーをも感じさせる、より複雑な味わい。
小生もそうですが、ずっしりとした赤ワインよりも少し軽めの赤ワインのほうが口に合うという方には絶対お勧めです。
11月の【ボジョレー・ヌーヴォー】解禁を待ちつつ、それまでは【ボジョレー】や【ボジョレー・ヴィラージュ】を楽しみませう!
今年のボジョレー地区は天候にも恵まれているみたいですよ。
編集 TK49YO