『白の中の白』
白いTシャツ8枚のカタログを、角版写真で1ページ大にする……
このお題にカメラマンが選んだ方法は、白地の上に並べるというシンプルなもの。
かなり自信がないとできないことです、これって。
だいたい、半袖の単品って表情を出しにくいじゃないですか。
しかも白一色ですから。
頼りになるのはライティングだけ。つまり、どこにどれだけの大きさと強さの
シャドウを作るのかということにすべてがかかってくる。
いくらデジタル技術が発達しようとも、そこはセンスが決めてしまうもの。
スパッと決まっているんですよ、この写真は。カッコいい。
私みたいな親爺編集者は、「人物撮影にはレフ版」「白静物には黒ケン」
と教えられてきたものですから、最近の若手カメラマンが
人物のロケ撮影でレフ版を使わないのを見てとっても腹立たしい。
それが「今どきの表現だ」と言われてしまえば、ぐうの音も出ないんですが、
写真チェックをバックライトでしかしないから、紙に印刷した状態の
肌の濁りにあまりに無頓着。残念でならなかったわけです。
角版ですから黒ケンはあり得ませんが、色バックでTシャツに色かぶりが
出るのもイヤだったんでしょうね。
ちなみに、この写真、印刷するのも大変なんですよ。
共同印刷さんも見事でした。
では、また。