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【東京アートパトロール】KAWS TOKYO FIRST

Update : 2021.08.04
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ディオール、ナイキ、ユニクロ、サカイ、アベイジングエイプなど様々なファッションブランドとのコラボレーションでもおなじみのポップアーティスト、KAWSの日本初の大規模展「KAWS TOKYO FIRST」が六本木ヒルズ森アーツセンターギャラリーでスタート!

KAWSは1974年アメリカ・ニュージャージー出身。1990年代のはじめにグラフィティアーティストとして頭角を現し、バス停や看板、広告に描いた作品で知名度を上げ、90年代にはアメリカだけでなくヨーロッパや日本でも知られるようになります。

そんなKAWSが日本を初めて訪れたのは90年代半ば頃、以来40〜50回も来日を重ねているかなりの親日家です。日本では90年代からNIGO® さんをはじめとする裏原系のクリエーターとも交流を重ね、当時の日本から様々なインスピレーションを得て作品にも投影されているそう。

展覧会ではそんなKAWSの20年間の興味と変遷と洞察をふまえるように、時系列で作品が展示されています。

会場に足を踏み入れて最初に目に飛び込んでくるのが、ブルックリンにあるアトリエの一室を再現したセクション。

彼のプライベートコレクションや「BFF」のピンクのぬいぐるみのソファに惹きつけられます。そして、どんなモノや作品に興味があるのか。頭の中を覗き見しているような気分になります。

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飾られているのは、ヘンリー・ダーガー、ピーター・ソウル、マイク・ケリーの作品など。

さらに、有名な漫画や犬のキャラクターなどを彷彿させる作品が並びます。

KAWSのこれらの作品はアートの文脈では「アプロプリエーション」と呼ばれる手法で、既存の有名な作品やキャラクターを自らの作品に取り込んだもの。ポップアートの巨匠、アンディ・ウォーホルも頻繁に用いています。

KAWS FIVE SUSPECTS, 2016 © KAWS, photograph by Todora Photography LLC, Collection of Larry Warsh

展示の中盤には、アプリをダウンロードして指定された場所にかざすと、お馴染みの「両手で顔を覆った宙に浮くCompanion」が出現するという展示も。スマホをかざしながらその周りを歩くと、360度まるでそこにリアルな立体作品があるかのように鑑賞できるのです。

ARなアート、なんだか不思議な感覚です。

この手法だと展示スペースに制約がないので、作品を展示するスペースは無限に広がります。アートの未来を示唆しているようでした。

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展示最後の出口近くには「BFF and Friends」という自分の顔とKAWSのキャラクターを一体化できるインタラクティブ展示「KAWS:PLAYTIME」が用意されています。

撮影した映像はスマホで読み込めば持ち帰ることができるので、何よりのお土産に。

そして、自分がKAWSに「アプロプリエーション」されたような不思議な感覚にもなり鑑賞終了。

90年代からの自分と現代アートとの付き合い方を振り返りつつ、これから現代アートがどんな風に進んでいくのか。そんなことを考えさせてくれる展示でした。

【A】KAWS (Brian Donnelly) photoNils Mueller for Wertical

KAWS(Brian Donnelly) photo:Nils Mueller for Wertical

【DATA】

KAWS TOKYO FIRST

会期:〜10月11日(月)

休館日:8月5日(木)

会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)

入館料:日時指定制 大人一般平日¥2,500 土・日・祝¥2,800

詳細は展覧会HPまで

公式サイト

text:安西繁美

女性誌やカタログで主にファッション、食関係、アートの企画を担当する編集・ライター。流行には程よく流されるタイプで、食いしん坊、ワインと旅行好き。東京日本橋出身、よって下町気質。家族や友人に美大出身が多いのに私は画力ゼロ。描けないけど書けるようになれたらいいなと。

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