Editor's Baton

HERSの編集部員やライターによる活動日誌。
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【LIFE STYLE】パリ近郊 花とともに暮らす⑮ 日向ぼっこ

Update : 2020.11.29
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11時。

何時もの窓辺でぼんやり外を見る。
突然、日差しが見えた。

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深い霧でまどろんでいた7時、幻想的な風景の中に入り込み、静かな気持ちで朝を始めたことなどすっかり忘れ、セータ-一枚で大急ぎで庭に出た。

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お日様。

寒くて長いフランスの冬に少しでも太陽を見つけると、待ち望んでいた贈り物が届いた子供のように、はしゃぐ気持ちが抑えられない。

窓辺の壁に咲く大きなバラの下に陽だまりができているのを見つけ、その下の丸太に座り込む。目の前のロ‐ズマリ-の葉先が今朝の水滴でキラキラ光っていて、今にも大気に蒸発しそうだ。冬の寒さで固まりがちな身体、両手をあげ、うん、と伸ばすと、すぐ横にあるラベンダ―に触れたのか、突然そのさわやかな香が姿を現した。

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顔を真上に向けるとバラの葉が光に透けて見えた。

みどりのシャワ-を浴び、葉と一緒に光合成をしているような気分がした。

この場所に隣の猫が毎日のようにやってきて、気持ちよさそうにしているかと思えば、ふと気が付くとガラス越しに家の中の私をじっと見ている。

猫の気持ちが分かるような気がした。

冬の陽気につられて、ふらふらと足を庭の奥に進めた。

薄雲の隙間から覗く冬の光、木々の間から見え隠れする木漏れ日、青い空にひらひら揺れ動く白樺の葉。控えめだが明るい太陽は庭中を駆け巡り、照らされた植物たちがあちこちで日向ぼっこをしていた。

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深呼吸は何時も植物と一緒にやってくる。

こうしていると身体が緩み、足の裏が土にしっかりついているのが分かる。

コ-トも着ずに出てきたことに気が付いたが、次の瞬間にはもう太陽が逃げてしまうような気がし、そのまま庭を巡る。

今の空気は今しか吸えない。

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庭にはもうほとんど花がない。

それでもその中で最後、ほんの少し、咲いている花に出合うその嬉しさは言葉では表せない。ふんだんに花がある季節とは違い、冬は花の良さがひしひしと感じられる時期なのかもしれない。そして家の中で、花の存在がどれだけその暖かさを分けてくれているかが分かるような気がする。それが例えどこか寂しげな感じがするとしても。

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穏やかだった一日の終わり、スト-ブに火を入れ、カモミ-ルのお茶を入れる。

庭に育つ野性のカモミ-ルを夏に一つずつ手でちぎり乾燥させた。瓶を開けると林檎のような香りがし、それだけで随分心が落ち着く。遠くから訪れてくれた友人に会うような懐かしさと愛しみが込みあがってくる。

 

今日は夕焼けがきれいだ。

日向ぼっこと冬の暖かさ。

冬は暖かいものがそばにあるとほっとする。

 

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【PROFILE】
西田啓子:ファーマーズフローリストInstagram@keikonishidafleuriste
フランス・パリ近郊花農園シェライユ在住。パリの花のアトリエに勤務後、自然を身近に感じる生活を求め移住。以来、ロ-カルの季節に咲く花を使いウエデイングの装飾や、農園内で花を切る事から始める花のレッスンを開催。花・自然・人との出会いを大切にする。
https://keikonishida-fleuriste.jimdo.com/

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