Editor's Baton

HERSの編集部員やライターによる活動日誌。
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【東京アートパトロール】三越コンテンポラリーギャラリー

Update : 2020.08.21
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アート巡りがただただ好きなだけのライター安西繁美が、いま気になるアートを見て回って、勝手に感想を書く「東京アートパトロール」。

老舗百貨店がなぜ、今、現代アート!?

日本橋三越本店の中でも独特の老舗オーラをヒシヒシと醸し出す本館6階の美術・宝飾品フロア。ここに新しくオープンしたのが「三越コンテンポラリーギャラリー」です。その名の通り、現代アートをメインに取り扱うギャラリーで、本店の美術品フロアが大規模改修されるのは、1990年以来30年ぶりなのだとか。新スペースの面積は193㎡、従来の「特選画廊」「美術サロン」の奥に位置しています。外壁はグレーのステンレスで周囲の雰囲気とは一線を画すモダンな印象に三越本店の意気込みを感じます。

でも、なぜ今「三越本店」が「現代アート」なのでしょうか。

私も数字を見て再認識したのですが、日本のアート市場(古美術・洋画・彫刻・現代美術など)の売り上げは2018年度で2460億円、そのうち国内百貨店の占める割合は644億円で全体の約4分の1を占めています。(一般社団法人 アート東京「日本のアート市場に関する市場調査2018」より)その一端を担う三越本店の売り上げ、推して知るべしです。

この状況の中で三越としての「伝統」を残しながら、次の世代に受け継がれていくような「現代」のアートを紹介したいとの狙いがあるそうです。

実際、精力的に展覧会は催されていて、コンテンポラリーギャラリーだけでも月に23回異なる企画展が組まれているのです。

オープニングは日比野克彦展

 ギャラリーと美術館は、ひとつひとつの作品に「値段」がついているのが大きな違い。アートに興味がない人でも、実際購入しようかと思っている人にも、「値段」という数字でリアルに迫ってくるのが面白いところです。

私も「秋冬の新作コートを買うのをやめて、この作品を家のリビングに招いた方が日々の生活が変わるかも?」「新しい金時計を買うより、私が心底気に入ったこの作品を形見として残す方がいいかも?」、ギャラリーに展示されている作品を見ていてさまざまな想像をしていました。

なかでも興味深かったのが、オープニングを飾った展覧会が「日比野克彦展」であるということ。私たち世代ならば誰もが知る、あの日比野克彦さんです。覚えていますよね? 日比野さんが店内のアートプロデュースを手掛けていた溜池や西麻布、苗場のJ TRIP BAR……。懐かしすぎる思い出が詰まっている場所だと思います。当時からNHK教育テレビ「YOU」の司会者など多方面で活躍していて、ダンボールを用いた作品はアートに興味のない人でも誰もが認識している、時代の象徴でした。あれから30年。日比野さん、現在は母校の東京藝大の美術学部長や岐阜県美術館館長などをなさっています。その日比野さんも「三越コンテンポラリーギャラリー」の取り扱い作家になっていて、作品を購入することができるのです。

つまり、昭和の時代の子供が三越の画廊で感じていた平山郁夫さん的な存在って、今は日比野克彦さんということみたいです。

自分が生きた時代の証として後世に残す作品を購入するとしたら、と考えながら日比野さんの作品を見ると感慨深かったです。シルクロードからダンボールアートの時代へ、さらにその先も。私の人生、それなりに長くなっているんだなあって。

 三越本店の6階フロア、他にも茶道具サロンやフレームサロンもあり、改めて訪れると子供の頃とは全く違った目線で楽しめてエキサイティングです。

なぜなら、そこにしかない空気感と商品が揃っているから。

私が訪れた時には、特選画廊で「MITSUKOSHI×東京藝術大学」と名付けられた若手作家の展覧会が催されていて、さまざまな「無理しなくて買える」作品が展示されていました。工芸作品のガラスや器は本気で買いたくなるものがたくさん。だって、1万円代からあるんですよ!

 子供の頃に感じていた「未来」が「現代」となったことをリアルに体感できるギャラリーってここしかありません。

母の手をひきつつ、娘を引き連れながら三世代で訪れるのも味わい深いと思います。

①外観
「空間デザインはヘルツォーク&ド・ムーロン(プラダブティック青山や最近ではプランタン跡のユニクロ銀座を手がけたスイスの建築家ユニット)を経て独立した石田建太朗氏、国内では奈良美智の私設美術館「N’s YARD」や「KOTARO NUKAGA」など現代アートのスペースを多く手がけています。」

②日比野展展示
20203月に開催されていた、日比野克彦展「Xデパートメント 2020」の展示風景。

③19JACKAL
日比野克彦《JACKAL2019
「ラグビーボールをダンボールで制作。『アートとスポーツはどちらも身体を通じてイメージを表現するもの』とは日比野さん談。」 ¥2,200,000

④Balloon Monkey (Orange) 3-4 copyright Jeff Koons
ベルナルド《ジェフ・クーンズ バルーン・モンキー(オレンジ)》
常設展示の中で目をひいたのが、ジェフ・クーンズと磁器ブランド「ベルナルド」とのコラボレーションで生まれた作品。999点限定でリモージュのアトリエで制作されたもの。¥1,980,000

⑤後藤温子
後藤温子《鬼の夢》2020年 ¥1,200,000
826日(木)〜97日(月)は日本刀と現代美術作家がコラボレーションした展覧会「KISSAKI」刀匠  高見太郎國一×画家 大槻透・木下拓也・後藤温子を開催。無鑑査刀匠・高見太郎國一が作り上げた三振の刀にインスピレーションを受けた3人の現代美術家による新作が展示されます。作家たちは共に東京藝術大学大学院の油画技法材料研究室を修了した精鋭です。

⑥高見
高見太郎國一 刀 価格未定
「展示では名匠・高見太郎國一作 三振の現代刀も展示。刀それぞれが持つ個性を楽しめます」

 

【DATA】
三越コンテンポラリーギャラリー
東京都中央区日本橋室町1-4-1 日本橋三越本店 本館6
☎03-3241-3311(大代表)
営業時間 10:00~19:00
https://www.mitsukoshi.mistore.jp/nihombashi/shops/art/contemporary.html

 

text:安西繁美
女性誌やカタログで主にファッション、食関係、アートの企画を担当する編集・ライター歴四半世紀。流行には程よく流されるタイプで、食いしん坊、ワインと旅行好き。東京日本橋出身、よって下町気質。家族や友人に美大出身が多いのに私は画力ゼロ。描けないけど書けるようになれたらいいなと。

 

 

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