連載&レコメンド

ぐっときたコンサートの話

Update : 2016.06.01
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小生、巻末のエンタテインメント情報三部作「BOOK」「CINEMA」「MUSIC」のなかの「MUSIC」を担当しています。
HERSの読者さんたちといえば、’70年代から良質な洋楽を聴いて育ってきた方々が多いので、誌面では毎月少し“通”な音楽レビューを展開。往年のDISCOサウンドやAORにはじまり、ルーツミュージックやジャズの流れを組む新進気鋭のアーティストなど、メジャーなミュージシャンに限らず、そして新旧にとらわれることなく、幅広く音楽を紹介しています。
とはいえ、たまにはきちんと超BIGなアーティストの今の様子もチェックしておかねば……ということで、行ってきましたイル・ディーヴォの来日公演 in 日本武道館。

写真① (2)

まず会場に入ってびっくりしたのは、ビッシリと観客席を埋め尽くしたオーディエンスのほぼ9割が女性だということ。そして、その大半が40代後半から50代と思われる方々。小生としては、かなり場違いなアウェー感……。
事前にレコード会社のご担当の方にも「HERSさんの読者世代には、ドンピシャのアーティストですから」と言われていたのですが、ここまで世代と性別がはっきりしたコンサートだとは思ってもいませんでした。

さて、そんなイル・ディーヴォですが、恥ずかしながら小生はこのコンサートへ行くまでずっとイタリア出身のグループだと思っていました……。音楽担当の編集者としては失格です。
知らない人もいると思うのでおさらいすると、実際には2004年にイギリスでデビューした4人組多国籍ヴォーカルユニットです。衣装には、確かにジョルジオ アルマーニを纏うことが多いのですが、イタリア人は1人もいません。

写真② (2)

写真右から。
もともとはエレクトリックギターを弾きながらワイルドなロックを歌っていたというイル・ディーヴォ唯一のポップミュージック出身者、フランス人のセバスチャン・イザンバール。
声楽だけでなく、ヴァイオリン、クラリネット、ピアノ、ギターとさまざまな楽器もこなすマルチアーティストタイプのスイス人、ウルス・ブーラー。
8歳の頃から天才歌手としてミュージカル、オペラ、TVで活躍してきたスペイン人のカルロス・マリン。
大学で声楽の学士号とオペラの修士号を取得し、メトロポリタン歌劇場でオペラデビューを果たす直前にイル・ディーヴォに加入したアメリカ人、デイヴィッド・ミラー。

そもそもイル・ディーヴォは、アメリカのオーディション番組『アメリカン・アイドル』のプロデューサー、サイモン・コーンウェルが、3大テノール(パヴァロッティ、ドミンゴ、カレーラス)のような歌声を持つクラシカル・クロスオーバーを目指して作られたグループ。音楽業界の実力者であるサイモンが世界17カ国に声をかけ、オーディションにオーディションを重ねて選ばれたのがこの4人だったのです。

彼らがコンサートで歌ったのは、「ベサメ・ムーチョ」や「キサス・キサス・キサス」といったスペイン語歌謡から、ミュージカル『エビータ』の「アルゼンチンよ、泣かないで」、ブライアン・アダムスが歌った映画『ドンファン』の主題歌「リアリー・ラヴド・ア・ウーマン」、フランク・シナトラの「ニューヨーク・ニューヨーク」といったポップス、かと思えば、ぐっと高尚にプッチーニのオペラ『トゥーランドット』の中のアリア「誰も寝てはならぬ」……etc.。
イル・ディーヴォのファンでなくても知っている曲が多いので、小生のような新来者でもすぐに馴染めるし、やはり声楽を極めている4人の歌唱力には圧倒されました……。とにかく声量がすごくて、ちょっと鳥肌ものです。
美男美女のダンサーたちがミュージカルばりのベタな演出でステージを彩ったり、最年少のデイヴィッド(43歳)が日本語のMCで最年長のカルロス(47歳)をイジッたり、歌声以外のところでも十分に楽しませてくれました。

やはり、まだまだいろんなアーティストの曲を聴いたり、コンサートに出かけてみるものですね! [2016年4月28日@日本武道館]

編集 TK48YO

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